今回は「ベトナム・サパに住んでいる 黒モン族の家にホームステイ 」第2回目をお送りします。
ブランド品を買う、良い車を買う、大きな家に住むという「豊かな生活」もありますが、私が出会った黒モン族の人たちは違う意味の「豊かな生活」をしていました。
物に溢れた今の社会で、何を「豊か」と感じ、生活していくのか。
黒モン族 の人たちにはたくさんのことを教わりました。
〓黒モン族家族と食卓を囲む
家に着いてすぐ、時間は夜6時を過ぎていたためゆっくり会話する時間もなく夕食の支度を始めました。
夕食は旦那のヤンも一緒に作っていました。
ヤンが山で拾ってきた木で火を焚いて調理開始です。
30分位すると夕食が出来上がり、じゃがいものとトマトの煮物に竹の和物、鶏料理、お米をごちそうになりました。
自分の畑で作ったというお米は日本と同じような茶碗に入れられてきました。
料理は、シンプルなのにとっても美味しい。
黒モン族の人はお米をたくさんおかわりするようで、2,3杯は当たり前。
2杯でお腹がいっぱいになった私は「小食なの?」と言われてしまいました。
夕食には近所のご夫婦も来ていて、みんなで食卓を囲み食べました。
近所の人が家に来て普通にご飯を食べていくという光景は、私が送ってきた生活ではあまりないことだったのでまたまた感動。
ご飯を美味しく食べていると最初は無口だったヤンも段々と話してくれるようになり、ニューに黒モン族の言葉を通訳してもらいながらベトナムの話、日本の話、文化の違いなど色々な話をしました。
ヤンはベトナム人の有名な歌「ホーチミン師」を歌ってくれて、とても楽しい時間を過ごせました。
時間を忘れて話しているとニューが「今何時!?」
と聞いてきました。
時計を見て「10時半だよ」と言うと、ニューはびっくり。
黒モン族 の人たちは朝5時には起きるので、夜9時には就寝するそうです。
私はいつも夜12時頃に就寝なので寝れるか、起きられるかが心配でしたが、久しぶりにたくさん歩いて疲れていたのかすぐに就寝できました。さすが、わたし。
〓黒モン族の朝ごはん
私は私なりに頑張って6時に起きました。
ニューは子どもがお昼ごはんに持っていくお米を焚いたり、豚のエサを用意したりと忙しそう。
私も朝ごはんの準備を少しお手伝い。
豚のエサは茹でたとうもろこしと細かく切った野菜を混ぜてあげていました。
ベトナム人は朝ごはんをしっかり食べます。
朝には米を食べることがほとんどだそうです。
この日の朝ごはんは一緒に春巻きを作りました。
本当は夕食に一緒に作って食べるようなのですが、昨日は時間がなかったので朝に作ってくれました。
朝ごはんをしっかり食べる私はいつもの様に朝ごはんをたくさん食べましたが、たまに来る欧米人の旅行者には甘いパンやヌードルを出すこともあるようです。
子どもの昼ごはん事情
子どもは学校に行く時に大きな筒状のランチボックスを持っていきます。
筒状なのでどういう風にご飯とおかずが入ってるのだろう?と思いきや、おかずは入っておらずご飯とスプーンだけ入っていました。
大きなランチボックスだからといってぎっしり入っている訳ではありませんでした。
おかずは学校でもらえるのかな?と疑問に思っていると、村のパーティーの時におかずをもらいにやってきました。
昼休みは家に戻れるという自由な学校のよう。
〓黒モン族を象徴する真っ黒な衣装
黒モン族の衣装は分厚く、真っ黒なので夏場に着ると暑いようです。
そのため、家に帰るとTシャツに短パンという人も。
男性も藍染めをされた服を着ている人が多いですが、私がホームステイした家の旦那のヤンは「藍染めをされた服は暑くて着てられない」ということで、Tシャツに短パンという涼しくて動きやすい格好をしていました。
確かに、農業をするのであれば少し暑そうな格好です。
真っ黒に藍染めされた黒モン族の衣装は、麻糸を折って生地にしています。
藍染めの液を作る工程の説明は英語では難しいー!とのことで詳細は分かりませんでしたが、結構な手間がかかっているようです。
黒モン族の名前の由来とも言えるその真っ黒な衣装は、長い時間かけて大切に作られたものです。
真っ黒な生地は何と1ヶ月もの間藍染めの液が入っている釜に入れては干し、入れては干しを繰り返して仕上げられた色です。
どの家庭も最低1ヶ月は藍染めを繰り返すそうで、1週間やそこらではそこまで真っ黒にならないのだとか。
真っ黒になった生地を更に石でこすりつけるとテカテカ、キラキラとした生地に仕上がります。
長い時間をかけて作られた布をさらに手間をかけて作られたキラキラの生地は黒モン族にとっても特別なようで、ニューは自慢気に何回も見せてきました。
そりゃこんだけ手間かけてるんだもん、完成した時はとってもとっても嬉しいんだろうなー。
黒モン族の刺繍
生地ができあがると、今度はその生地に刺繍をします。
黒モン族の女性は小さい頃から刺繍を習うそうで、刺繍をする手つきは素早く正確。
繊細な模様なのでさぞかし下書きをしてから縫うと思いきや、下書きなしで刺繍をしていくそうです。
実際に刺繍を教えてもらったものの、模様を作ったりというところまでは到底できず、悔しい思いをしました。
そして刺繍をしている時は近所の人とお喋りしながら手を動かしているではありませんか。
楽しそうにお喋りをしながら刺繍をしている姿を見て、豊かな生活だな、とまた感じた私でした。
左:ニューが作成中の刺繍。10歳の頃から刺繍をしているため下書きなんぞしないとか。さすがです。
右:ニュー師匠がどこかへ行ってしまった時に代わりに刺繍の師匠になってくれた近所のおばさん。当たり前の様にスイスイ刺繍ができる。
〓黒モン族の村のパーティーへ参加
この日は村の1人がハノイの近くに軍隊の訓練をしに行くため、送迎会が村をあげて行われました。
何年かに1度、18歳になった男性が村から選ばれて軍隊の訓練に行くそうです。
スーツを来たサパの地域の職員も来ていてお祭りモード。
朝には豚1匹を、食べるために男2,3人がかりでさばいていました。
豚をさばいているところを人生で初めて見学。
普段普通に食べている牛や鶏、そして豚の動物たちですが、この光景を見て改めて「いただく」ことの意味を知った気がします。
食事の前後に言う「いただきます」、「ごちそうさま」という言葉は命に感謝する、そして料理を作ってくれた人に感謝するとっても素敵な言葉だなと思います。
そういう、普段当たり前の様に言う素敵な言葉を大切に使っていきたいですね。
パーテイーでは色々な種類の料理が振る舞われました。
豚、鶏、海鮮物などがあり、中には見たこともない食材もちらほら。
食べることが大好きな私は、ご飯はもちろん、ベトナムの家庭料理を堪能。
それを見ていた村の人はご飯をたくさん食べてくれたことが嬉しかったのか、笑顔で迎えてくれました。
村のパーティーは午後まで続き、私たちは暗くなる前にサパの街に行くため午後3時頃には村を後にしました。
みんな本当に優しくて素敵な人たち!
おわりに
1泊2日の 黒モン族の家にホームステイ を終えて、短い間だったけれど本当に色んなことを教わりました。
最初は、ただ単に「民族の家にホームステイ」ということに好奇心を揺さぶられるだけの理由でホームステイをしようと決めましたが、その暮らしぶりは良い意味で想像以上。
自給自足の生活をし、子どもは自然いっぱいの村で近所の子たちと遊び(たまにテレビ見てるけど笑)、誇りを持った衣装を時間をかけて作り時間をかけて大切に着る。
失礼な話ですが、経済的に貧しくてもこんなにも生活は充実しているのかと、驚きました。
ここで、黒モン族の暮らしを見て教わった、私が思う「豊かな生活」の条件を6つご紹介します。
- 家族と良い関係であること
- 人付き合い(近所付き合い)が良好であること
- 自分で育てた美味しい食材があること
- 自分の仕事に誇りを持っていること
- 自分を表現する手段があること(服装なども含めて)
- 自分も含め周りの人が笑顔であること
かなり大雑把ですが、この豊かな生活の条件は経済的に貧しくてもできることです。
私はまだすべての条件に当てはまっていないので、自分が「豊かな生活をしている」とは言えません。
でも、近い将来に「自分は豊かな生活をしている」と言えるように行動していくことはできます。
人それぞれ豊かな生活の条件は違いますが、自分が思う豊かな生活を考え、それに向けて行動していけるとより将来は明るくなるのではないでしょうか。
その豊かな生活とは、地球や地球に住んでいる植物や動物も含めて考えられるとよりいいですね。
スポンサーリンク